+ゲスト+
藤原 明さん
(りそな銀行地域サポート本部プランニングマネージャー

新しい銀行像をつくることが自分のライフワーク

実は私も銀行に入った時は、一日目で辞めてしまおうかと思ったんですよ。銀行の古い体質を知り、えらいところに入ってしまったなと思ったんです。初めは悩みましたが、途中からこの業界を変えたらいいんではないか、ここを変えること自体がライフワークになるなと思ったんです。
  入社して半年くらいで目が死んでいく若い人たちを僕は何人も見てるんですよ。「銀行に入って性格が変わった」とか言われたら、これはちょっと辛い。「銀行入ってよかった」と言ってもらえたらなと思います。
  それに、ミュージシャンの人やアーティストの人に会うことが多いんですけど、銀行の名刺出したら、おもいっきり引かれるんですよ。銀行ですか・・・って。これが嫌で、なんとか変えたいなと思ってきました。

  そんな思いがあって、たまたま銀行が公的資金を注入することになり、新しい会長が新しい銀行像を創ろうとなった時に、「これはチャンスや」と思ったんです。新しい銀行像を創ろうというメッセージに答えるためには何をしたらいいかを考えて、いろんな活動をしてます。新しい銀行像を創って、私が入社して一日目に感じたことを、みなさんが感じないような会社になったらいいなと思っています。
  リーナルは社外の評価は高まっていますが、まだまだ社内では認知されていない。ただ、こういう思いを持って、仲間を増やせば組織自体が変わると思って取り組んでいます。

マグネット効果
 
― 一つずつ形にし、意味づけするとどんどん広がる

僕はもう入社15年くらいになりますが、まぁ暑苦しいくらい熱いとよく言われます。でも、一番大切なのは熱い思いを持ちつつ、一つずつ形にすることだと思うんですよ。
  最初は一人でどれだけできるかなと思っていましたが、やりはじめると意外とどんどん形にできました。形にすると、また新しい形が生まれるんです。「マグネット効果」と呼んでますが、何かやると、どんどん、どんどんひっついてくる。そして、ネットワークも広がっていき、それを活用するとまた広がる。それが、今、こうやって全国展開にまでつながっているんです。

 このプロジェクトで、最初に取り組んだ企画は定期預金の証書入れの企画なんです。何をやったかと言うと、銀行の証書預金の袋に天満宮の朱印を押しただけなんですが、それを地域限定として3店のみで扱いました。でも、「大学と銀行と商店街が組んだまちおこし」として、わざわざ記者会見を開いて新聞記者をいっぱい呼んで。「これからいろいろやっていきます!」と宣言したのが最初の企画なんですよ。でも、証書預金をつくったことで、驚くほど新聞に取り上げていただいた。銀行がまちおこしするということが、たまたま珍しかったんですね。
  この500口座限定の証書預金は、僕が天満宮に行って一枚ずつ朱印を押したんですよ。それが、なんと11億円も預金が集まったんですね、たった3店で。
  で、また記者会見をしたら、松竹さんの映画のプロモーション会社から「今度、花火と商店街をテーマにした映画やるんですわ。」と電話ありました。大阪で花火と商店街といったら天神祭の天神橋商店街。そこで、りそな銀行が天神橋商店街とまちおこしをやっていたことが縁でプロモーションを一緒にやりませんかという話になり、りそな銀行の本店で試写会をやったんです。それがまた話題になりました。
  今度は、証書袋に朱印を押した天満宮の境内に薦樽(こもだる)が置いてあったので、「あれがオリジナルのお酒やったらいいですね」と、商店街の人に言ったら「いやいや、もともとここは地下水おいしいとこで造り酒屋がいっぱいあったんやで。」という話になり、「オリジナルのお酒を造りましょうよ」と田植えから稲刈りしてつくったら、これがあっという間に評判になりました。
  次に、桂三枝さんが、東京にあるような定席の落語小屋をこの大阪の天満宮につくりたいという構想を天神橋筋商店街さんと発表され、天神橋商店街と一緒になって企画を展開しているりそなとも、なんかやりましょか。」という話になりました。建設資金をみんなの寄付で集めたいということだったので、りそな銀行の本店にある500人くらい入れるホールでチャリティ寄席やりました。出演者は、三枝さんと鶴瓶さんとざこばさん。それぞれ吉本興業、松竹、米朝事務所と興行会社が違う3人が集まることは、なかなか珍しい。お一方5000円の寄付を500人から募り、250万集まりました。
  落語の後は、お酒を飲みながら「今日の寄席良かったなあ」と話し合うのもいいじゃないですか。そういう文化を根付かせたいと、帰りに商店街にも行ってもらって食事してお酒飲んでもらえるようにする仕掛けを今は、進めています。

 これ全部、最初に証書預金の袋500枚に朱印を押してなかったら始まっていないんですよ。最初はものすごい単純な企画でしょ。朱印を押しただけですよ。だけど、形にすることが大事だと思うんですよね。
  アーティストの人たちから「イベントに来てくださいよ。」と言われれば、できる限り行っています。そういう場所で新しい企画が決まることが多いんですよ。「あっ、藤原さんですか。今、こんなん考えてるんですよ。」って、立ち話だけど、ものすごい深い立ち話です。「じゃあ、やりましょう。」って、どんどん決まるんです。

 こういうネットワークを、有機的なネットワークといいますか、仲間感覚といいますか、こうしたネットワークの中にいることは、とても素敵なことと思っていて。こういう縁を大事にしていったら、難しいこともできるんちゃうかなと。皆さんにも、ネットワークを是非もっていただけたらなと思っています。

悪戦苦闘モデル
 ― 制約があるからこそイノベーションが生まれる

世の中を1mmでも動かす、そういうことをしたいなと思っています。クリエイターの人たちはいい発想を持っているんですが、残念ながら、企業の人と接する機会がありません。リーナルはそれをつなぎ、ネットワークをどんどん広げていく。僕もいろんな人と会っていると、大きな刺激を受けて、どんどんどんどんアイデアも浮かびますし、いろんなやりたいことも生まれる。アイデアに困ることはありません。

 あと、リーナルはお金をかけているようにみえるかもしれませんが、まさに「悪戦苦闘モデル」です。お金はあまりかけてないんです。われわれの現状を踏まえると、広告費を潤沢に使える訳ではない。その中でなんとかこのプロジェクトをアピールしようと思って、やってきました。制約がなかったら、こんなんできてへんと思うんですよ。制約があったからこそ、これができたんやなと思っています。

経営者の想いを現場で受け止める

すぐに銀行の収益に結びつくわけではないので、どんな効果があんねんとよく言われます。ただ、お金を出来る限り使わないで大きな反響を得れば、文句は言われないと思っていますので、お金を出来る限り使わず何かをやって、訴えかけていく。そうすれば、人が集まり、記事にもなる。すると、評価がついてくる。やっぱり形にしてみせることが一番なんですよ。納得してもらうためには。
  ようやく社内の認知度も上がってきて、先日初めて経営会議で発表しました。そのとき、会長が「私はこのリーナルというプロジェクトに将来の銀行像があるように思う。だから、もしわからない人がいても、邪魔をするな」と、言ってくれたんですね。
  みなさんもトップというか、社内のキーマンに自分の思いを持ってちゃんとつながって欲しいと思います。今、経営者の人たちは社会に貢献したいという気持ちを持っていると思うので、そういうメッセージを受け止めれば、どんな会社のどんな部署にいてもいろんなことができるんじゃないかと思っています。

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